コスモス短歌会へのお誘い

コスモス短歌会へのお誘い

 コスモス短歌会は1953(昭和28)年、宮柊二を主宰として発足しました。同年3月に短歌誌「コスモス」1巻1号を発行して以来、今日に至るまで毎月とどこおりなく発行しつづけ、2019年3月号で通巻800号となりました。
 コスモスの文学理念は、創刊号の巻頭に記された宮柊二の宣言文「みづからの生の証明を -「コスモス」創刊に際して- 」に表明されています。すこし長いですが、それを次に引用します。

 われわれは作品によつてみづからの生を証明したいと思ひます。
 われわれは内と外における時間の推移を作品から遁さないと共に、また現在が抱いてゐる筈の永遠質をも注目して把へたいと思ひます。
 更に加へますならば、われわれがいかなる時代の生命者であるかを、作品発想の基底において自覚してゐたいとおもひます。その意味で批判精神を衰へさせない決心です。
 詩が形式を求めるものであり、短歌は民族語の伝統が選んだ詩形であるといふことを承知しております。われわれは抒情詩である短歌がすべてを表現し得るとは確信して居りませんが、その限界がどこにあるかを発見したいとする勇気をまた放棄しないでせう。
 誌名『コスモス』を、いかやうの意味にうけとつていただいても結構です。われわれは苦難多いであらう今後の営為の中で、同人と共に注ぐ努力によつてのみ、その意味を処理してゆきたいと思ひます。

 戦後の時代状況という特殊な背景を負った文章ではありますが、「みづからの生の証明を」という指標は、今日でも通用する普遍的なものでしょう。現在コスモスではこの指標のもとに、ひとりひとりの個性を重んじつつ、約2000名の会員が日々研鑽を積んでおります。
 東京歌会をはじめ、全国に多くの支部や勉強会がありますので、まずは見学にいらしてくださることも可能です。

編集人 高野公彦